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契約書

英文ディストリビューション契約の注意点 Distribution Agreement

投稿日 : 2021年06月18日

英文ディストリビューション契約(販売店契約・販売代理店契約)の注意点について解説します。

ディストリビューション契約とは

ディストリビューション契約(Distribution Agreement / Distributorship Agreement)とは、海外企業との間で締結される契約類型の一つで、対象となる製品の売買に関する事項を定める契約です。販売店契約又は販売代理店契約とも訳されます。

ディストリビューション契約の当事者はサプライヤー(売主)とディストリビューター(販売店)です。多くの場合、サプライヤーは自社ブランドの製品を製造販売するメーカーであり、ディストリビューターは対象地域において販売網を有している流通業者・小売業者などです。

ディストリビューション契約の特徴としては、契約期間内になされる毎回の発注に対して適用される基本契約としての機能を有することが挙げられます。さらに、通常の取引基本契約にはない特徴として、独占権や競合品取扱いの禁止、販売促進義務など当事者が製品の販売に向けてより強くコミットすることが挙げられます(具体的な内容は契約により異なります)。

ディストリビューション契約の内容

一般的なディストリビューション契約では以下のような内容について規定します。

(1) ディストリビューターの指名
(2) 対象製品、販売地域
(3) 個別契約
(4) 競合品取扱い
(5) 製品の価格
(6) 支払条件
(7) 引渡し、検査
(8) 最低購入量
(9) 危険負担、所有権の移転
(10) 販促活動、アフターサービス
(11) 商標
(12) 製品保証
(13) 契約期間、契約終了時の取扱い
(14) その他一般条項

上記のうち特に注意が必要な事項としては、対象製品の特定、独占権の有無、競合品取扱い、最低購入量、契約終了に関する問題、などです。以下、それぞれについて説明します。

対象製品の特定

ディストリビューション契約ではその対象となる製品を特定する必要があります。当然のことながら対象製品に対しては契約が適用され、対象でない製品には適用されません。特に独占権がある場合には対象製品の範囲が重要となってきますので適切に規定する必要があります。ディストリビューターの立場からは販売したい製品がきちんとカバーされているか、サプライヤーの立場からは余計な製品が含まれるような文言となっていないかをチェックすることとなります。

製品ラインナップは将来において追加・変更が生じる可能性があります。例えば、改良品が開発されたり、新製品がラインナップに加わることもあります。逆に既存の製品がラインナップから外れることもあります。そのような可能性も踏まえてどのように対象製品を規定すべきかを検討する必要があります。

独占か非独占か

独占権の有無はディストリビューション契約において極めて重要性の高い内容です。ディストリビューターの立場からすればコストをかけて販促活動を行う以上独占権が欲しいところですし、サプライヤーの立場からすれば対象となる販売地域において他のディストリビューターが使えなくなるのでリスクであるといえます。特にサプライヤーの立場からするとディストリビューターの販売能力が十分である場合にのみ独占権を与えるのが安全といえます。

独占権を認める場合、サプライヤー自身の販売はできるのかという問題があります。一般的にはディストリビューターに独占権を認めた場合にはサプライヤー自身も販売できないと解されますが、契約にその旨明記しておくのが後々の紛争を避けるために良いといえるでしょう。契約締結前から対象地域においてサプライヤー自身の顧客がいる場合にもその取扱いをどうするかについて決めておく必要があります。

競合品取扱い

競合品取扱いは、ディストリビューション契約の対象製品と市場において競合する製品をディストリビューターが取り扱って良いかという問題です。サプライヤーの立場からすると対象製品を販売して欲しいわけですからディストリビューターによる競合品取扱いは制限したいところです。特に独占権を認める場合には競合品の取扱いが禁じられることが多いといえます。

ただし、ディストリビューターが対象製品と同種製品を多く取り扱う業者である場合には競合品の取扱いを禁じることができない場合があります。また、一律に競合品の取扱いを禁じるのではなく、ディストリビューション契約の締結時点で既に取り扱っている競合品については取扱いを認め、契約締結後は新規の競合品の取扱いを禁じるというアレンジもあります。

最低購入量

最低購入量はディストリビューターが対象製品を一定量購入する義務を負うというものです。例えば、対象製品を年間で最低●●円以上購入するなどの義務です。最低購入量もディストリビューターに独占権を認める場合に規定されることが多い内容です。サプライヤーとしては独占権によってディストリビューター以外の販路が利用できない以上、ディストリビューターに最低限達成して欲しい売上を課するということでリスクを回避することになります。

最低購入量は年間の購入量を定める形で規定されることが一般的です。対象となる期間の購入が達成できなかった場合には、サプライヤーとしてはディストリビューターの独占権を剥奪して非独占とすることができる(これによりサプライヤーは他のディストリビューターにも販売できるようになる)、又は契約を解除できるなどの選択権を有するなどと定められます。そのような選択権に加えて、最低購入量の未達に対する損害賠償の予定を定めることもあります。

ディストリビューターの立場からすると最低購入量の未達は契約解除にも繋がりかねない重大な事態となるので、どの程度の水準とするかについては慎重に検討して合意する必要があります。特に新規に取り扱う製品については見通しが立てにくいので、最低購入量を努力義務にとどめるよう交渉することも考えられます。

サプライヤーの受注義務

ディストリビューターがサプライヤーに発注をした場合にサプライヤーがこれを受注する義務を負うかという問題です。ディストリビューターとしては費用をかけて販促活動を行う以上、サプライヤーには受注してもらえないと困りますし、サプライヤーとしても通常は受注することに問題はないといえます。

もっとも、サプライヤーとしては契約上の義務として常に受注義務を負うとすることは嫌がるケースが多く、受注するか否かの決定権を留保する(すなわち受注を拒否することができる)内容とするよう求めることになります。これに対し、ディストリビューターとしては受注義務を負ってもらう、又は「正当な理由がない限りは拒否できない」などの内容とするよう交渉していくことになります。

契約解除に関する問題

ディストリビューション契約の期間は通常年単位であり、販売が順調であれば契約期間が満了しても更新・継続されることが多いといえます。そこで、特にディストリビューターにとっては契約の継続に向けた期待が生じるといえます。他方で、サプライヤーとしてはディストリビューターのパフォーマンスに満足していなかったり、自社が直接販売したい場合には契約を終了させたいと考えることがあります。

国際的なディストリビューション契約の場合、その適用を受ける国の法律(準拠法)次第ではサプライヤーによる契約解除や契約の不更新が認められない場合があります。例えば、日本では継続的契約は判例で保護されており、事実関係にもよりますが一方当事者による解除等は制限されることがあります。日本以外でもディストリビューターのような立場の当事者を保護する法制度(代理店保護法などと呼ばれます)を採用している国があり、自社がサプライヤーの立場で海外企業と契約を締結するのであればそのような法制度の有無を確認しておく必要があります。

コメント

上記でお示しした事項はディストリビューション契約で問題になりやすいものの例であり、それ以外にも注意すべき点があります。特に自社がディストリビューターの立場である場合、サプライヤーから相手方有利な契約書を示されることが多いと思います。ディストリビューション契約は契約期間が比較的長い契約となるので、締結時にしっかりと検討して納得できる内容で締結することが重要です。


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