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会社法

株主総会の手続きの流れ

投稿日 : 2018年05月20日

株主総会を開催する手続きの流れについて解説します。主に取締役会を設置している会社(取締役会設置会社)を念頭に置いています。

株主総会を開催する手続きの流れ

株主総会を開催する手続きの流れは以下のとおりです。

【手続きの流れ】

ステップ1: 取締役会において株主総会に関する決定をする。
.          ↓
ステップ2: 株主総会の招集通知を株主に発送する。
.          ↓
ステップ3: 株主総会を開催する。
.          ↓
ステップ4: 議事録を作成する。
.          ↓
ステップ5: 必要に応じて役員変更登記の申請をする。
.          ↓
ステップ6: (定時株主総会後のみ)決算公告を行う。

以下、それぞれについて解説します。

ステップ1:取締役会における決定

取締役会において株主総会に関する事項として以下の内容を決定します。取締役会を設置していない会社(取締役会設置会社)の場合は取締役が決定します。

【決定する事項】
(1)株主総会の日時及び場所
(2)株主総会の目的事項
(3)書面投票(議決権行使書面による議決権行使)を認める場合にはその旨
(4)電子投票(オンラインによる議決権行使)を認める場合にはその旨
(5)その他法務省令で定める事項

(1)株主総会の日時及び場所

株主総会を開催する日時と場所を決定します。

毎事業年度毎に開催される定時株主総会については通常、事業年度の終了から3か月以内に開催されます。これは、定時株主総会の議決権を行使できる株主を事業年度の最終日とするのが一般的であり、会社法上、そのように基準日を定めた場合には基準日から3か月以内に株主総会を開催する必要があるからです。例えば、12月末決算の会社であれば翌年3月までに定時株主総会を開催し、3月末決算の会社であれば6月末までに定時株主総会を開催します。臨時株主総会についても同様に基準日から3か月以内に株主総会を開催します。

場所については法令上の規制はなく、どこでも開催することができます。もっとも、株主の出席が困難な場所で開催するようなことがあれば、招集手続きが著しく不公正であるとして総会決議の取消事由になり得ます。

(2)株主総会の目的事項

株主総会を開催する目的事項を決定します。

目的事項には大きく分けて報告事項と決議事項(議案)があります。前者は会社が株主に対して報告すべき事項であり、年次の事業報告がその典型です。後者は株主総会において決議すべき事項であり、例えば取締役選任、剰余金の処分、定款変更、役員報酬の決定などです。

(3)書面投票(議決権行使書面による議決権行使)を認める場合にはその旨

書面投票は、株主が株主総会に出席することなく、書面の提出による議決権行使を認める方法です。具体的には、会社が株主に対して招集通知を発送する際、①議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(株主総会参考書類)と、②議決権を行使するための書面(議決権行使書面)を同封して提供します。株主がこの議決権行使書面に議案に対する賛否等の必要事項を記入し、会社に返送することによって議決権を行使します。

このような議決権行使の方法を書面投票といい、これを認める場合にはその旨を決定します。なお、議決権を有する株主が1000人以上いる場合には書面投票による議決権行使ができるようにしなければならないとされています。

(4)電子投票(オンラインによる議決権行使)を認める場合にはその旨

電子投票は、書面投票と同様、株主が株主総会に出席することなく議決権行使を認める方法ですが、その議決権行使の方法が専用のウェブサイト等を通じて行うという方法です。具体的には、会社が株主に対して招集通知を発送する際、専用ウェブサイトのログインIDとパスワードを通知し、株主が専用のウェブサイトでそれらを用いて議案に対する賛否を入力するという方法が一般的です。

このような議決権行使の方法を電子投票といい、これを認める場合にはその旨を決定します。なお、書面投票とは異なり、議決権を有する株主が1000人以上いる場合であっても電子投票を義務付けられることはありません。会社が任意に選択することができます。

(5)その他法務省令で定める事項

法務省令で定める事項は多岐に亘りますが、主なものは以下のとおりです。

  • 株主総会参考書類の記載事項(書面投票と電子投票を認める場合)
  • 書面投票や電子投票の議決権行使期限
  • 代理人による議決権行使の方法
  • 議案の概要(書面投票や電子投票を認めない場合)

ステップ2:株主総会の招集通知を株主に発送

(1)公開会社の招集通知

公開会社(株式に譲渡制限が付いていない会社)の場合、株主に対して株主総会の2週間前までに招集通知を送付する必要があります。

議決権の行使方法として書面投票や電子投票を認める場合には、株主に対して招集通知を送付するとともに、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(株主総会参考書類)を提供する必要があります。

また、定時株主総会に際しては株主に対して計算書類、事業報告、監査報告等を提供します。

(2)非公開会社の招集通知

非公開会社(株式に譲渡制限を付けている会社)の場合、招集通知に必要な期間は公開会社よりも短く、株主総会の1週間前までとされています。さらに、取締役会を設置していない会社においては定款でより短い期間、例えば3日前などと定めることも可能です。

ただし、書面投票又は電子投票を認める場合には上記のような緩和された規制は適用されません。すなわち、招集通知に必要な期間を短縮することはできず、公開会社と同様に2週間前の通知が必要となります。

(3)招集通知の内容

招集通知には、上記のステップ1で説明した(1)ないし(5)の各事項を記載します。

(4)招集通知の方法

招集通知は、取締役会設置会社である場合、書面投票を認める場合、電子投票を認める場合のいずれかに該当すれば、書面で行う必要があります。それ以外の場合、書面で行うことは義務付けられず、例えば電話等で伝えることも可能です。もっとも、実務上は記録に残る形で通知しておくのが安全といえます。

招集通知を書面で行う必要があるとされる場合であっても、株主の承諾を得れば電子メール等の電磁的方法で通知を行うことが可能です。

(5)招集手続きを省略できる場合

上記のとおり、株主総会の招集のためには事前の招集通知が必要です。もっとも、株主全員の同意があれば法定の招集期間を短縮することや、招集通知を行わないで株主総会を開催することが可能です。ただし、書面投票や電子投票を行う場合にはそのような短縮・省略はできません。

ステップ3:株主総会の開催

(1)議事進行

一般的な議事進行は以下のとおりです(一括上程方式)。

議事進行 説明
1.    議長就任 総会の決議により議長を定めることも可能ですが、多くの会社では定款によって社長である代表取締役が総会の議長を務めるものとされています。
2.    開会宣言 議長が総会の開会を宣言します。
3.    議事進行に関する説明 議事進行の流れやルール等を説明します。株主からの質問や発言のタイミング・方法についても述べます。
4.    出席株主数と議決権数の報告 議決権を行使することができる株主の数とその議決権の数、総会に出席した株主の数とその議決権の数を発表します。
5.    監査報告 監査役が監査結果を報告します。
6.    事業報告、計算書類の説明 前期の事業報告を行うとともに計算書類の内容について説明します。
7.    議案の説明 議案について、その内容と議案を上程した理由等を説明します。
8.    質疑応答・審議方法の決定 報告事項や議案について株主からの質問や発言を受け付けること、及び質問等の終了後に議案の採決を行うという進行とすることについて株主に了承を求めます。
9.    質疑応答 株主からの質問や発言を受け付け、これに回答します。
10.  議案の採決 各議案について採決を行います。
11.  審議終了・閉会 総会の審議を終了し、閉会します。新たに選任された役員がいる場合、新役員の紹介を行うことがあります。

(2)決議の種類

決議には①普通決議、②特別決議、③特殊決議があります。①の普通決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成により成立します。②の特別決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上にあたる賛成により成立します。③の特殊決議はさらに加重された要件を満たした場合に成立します。

ステップ4:議事録の作成

株主総会が終了したら議事録を作成します。議事録には以下の内容を記載します。

  • 株主総会が開催された日時及び場所
  • 議事の経過の要領及びその結果
  • 監査役等により述べられた意見又は発言
  • 出席した役員等の氏名又は名称
  • 議長の氏名
  • 議事録を作成した取締役の氏名

ステップ5:必要に応じ役員変更登記

総会の終了時点において任期が満了した役員は退任し、総会によって選任された者は役員に就任します。これらの役員について会社の役員登記を変更する必要があります。

ステップ6:(定時株主総会のみ)決算公告

総会において承認を受けた計算書類の貸借対照表(大会社の場合は貸借対照表と損益計算書)を公告する必要があります(決算公告)。決算公告は定款の定めに従い、官報へ掲載する方法、日刊新聞紙へ掲載する方法、電子公告による方法のいずれかを行います。

官報や新聞を公告方法と定めている場合には、貸借対照表の全文を公告する必要はなく、その要旨で足ります。また、官報や新聞を公告方法と定めている場合であっても、それらの公告方法に代え、ウェブサイト上で貸借対照表を開示する方法をとることもできます。
          


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