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債権回収

代理受領による債権回収

投稿日 : 2017年12月06日

代理受領による債権回収について解説していきます。

代理受領とは

代理受領とは、ある債権について、当該債権の債権者に代わって債務者から支払いを受けることをいいます。以下のとおりです。

代理受領の例

上の図で、自社は取引先に対する債権の回収を図りたいと考えています。そこで、自社としては、取引先が第三債務者に対して有する100万円の売掛債権について、その取立てと支払いの受領の委任を受けることにより、当該委任された権限に基づいて第三債務者から100万円の支払いを受けることができます。そのように受領した弁済金(100万円)によって自社の取引先に対する債権の回収を図ることができます。

代理受領が用いられる場面としては、自社の取引先が有する債権に譲渡禁止特約が付されている場合や、債権譲渡を避けたいという事情がある場合などです。例えば、公共工事を行った建設業者は発注者である官公庁に対して請負代金債権を持ちますが、通常その代金債権には譲渡禁止特約が付されています。代理受領であれば譲渡禁止特約があっても行うことができ、債権譲渡に近い効果が得られます。

代理受領の手続き

(1)取引先から取立委任を受ける

取引先が有する第三債務者の債権に関して、取引先からその取立てと支払いの受領の委任を受けます。具体的には委任契約を締結し、その契約において次のような内容を定めます。

  • 取引先は自社に対して、第三債務者宛の債権の取立てを委任し、その受領を委任すること
  • 取引先は自社の同意なしに委任を解除しないこと(このような約定をしないと取引先によって解除されるおそれがあります)
  • 取引先が自ら第三債務者から弁済を受けるなど、自社による取立てを妨げる行為をしないこと
  • 自社は取立てによって第三債務者から支払いを受領したときには、自社の取引先に対する債権の支払いに充当することができること

(2)第三債務者から承諾を得る

上記(1)の委任がなされていれば自社としては有効に代理受領の権限を有します。第三債務者の承諾は自社の代理受領の権限を左右するものではありません。しかし、代理受領について第三債務者の承諾を得ておくことで、第三債務者が取引先に債務を支払ってしまう事態を防ぐことができます。そのような承諾を得ておけば、万一、第三債務者が取引先に支払ってしまっても、自社としては第三債務者に対して責任を追及することができるようになります。もっとも、第三債務者が承諾してくれるかは明らかではありません。その場合、第三債務者に対して自社・取引先間で代理受領の合意がなされたことを通知し、それに従って自社に支払うよう依頼するにとどまります。

代理受領の注意点

代理受領はあくまでも自社が取引先に代わって債権を取り立てる権限を有するに過ぎません。そのため、第三債務者としては、対象となる債権について取引先に対して主張しうる抗弁をもって支払いを拒むことができます。例えば、第三債務者が取引先に対して反対債権を有していれば相殺することができます。

また、自社とは別の債権者が対象となる債権を差し押さえた場合、差押えの効力が優先し、代理受領の合意があっても支払いを受けることはできません。
       


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