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中小受託取引適正化法(取適法)対応業務

投稿日 : 2026年07月02日

2026年(令和8年)1月1日、中小受託取引の公正化と価格転嫁の促進を目的として、従来の「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」が改正され、「中小受託取引適正化法(略称:取適法)」として施行されました。法律の制定から数十年を経て行われた今回の見直しでは、適用対象となる企業の範囲が大幅に拡大されるとともに、委託事業者に求められる義務や禁止行為の内容も強化されています。
これまで下請法の対象外であった企業や取引についても、新たに規制の対象となるケースが少なくありません。「自社の取引には関係がない」と考えていた企業であっても、資本金基準に加えて新設された従業員基準により、思わぬ形で適用対象となる可能性があります。当事務所では、取適法への対応を検討されている委託事業者・中小受託事業者の双方に対し、法令の内容を踏まえた実務的なリーガルサポートをご提供いたします。

1. 中小受託取引適正化法(取適法)とは

取適法の正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」といい、中小受託取引の公正化と中小受託事業者の利益保護を目的とする法律です。従来の下請法が「親事業者」「下請事業者」という上下関係を連想させる呼称を用いていたのに対し、取適法では対等なパートナーシップの構築を志向し、用語自体が見直されました。

改正前(下請法)改正後(取適法)
法律名下請代金支払遅延等防止法製造委託等に係る中小受託事業者に対する
代金の支払の遅延等の防止に関する法律
(略称:中小受託取引適正化法/通称:取適法)
発注者側の呼称親事業者委託事業者
受注者側の呼称下請事業者中小受託事業者
代金の呼称下請代金製造委託等代金

取適法は、資本金の額または出資の総額を基準とする従来の枠組みに加え、新たに従業員数を基準とする区分を設けることで、これまで規制の対象とならなかった取引についても適用範囲を拡大しています。あわせて、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託に加え、物品の運送を委託する取引(特定運送委託)も新たに対象に含まれることとなりました。

2. 改正の背景

人件費や原材料の調達コストの上昇が続く中、中小企業が賃上げの原資を確保できるかどうかは、日本経済全体にとっても大きな課題となっています。そのためには、発注者から受注者へ、また取引の川上から川下へと、コスト上昇分が適切に価格へ反映される仕組みをサプライチェーン全体で定着させることが不可欠です。しかし従来の下請法は資本金基準のみを適用の物差しとしていたため、実質的に保護が及ばない取引が生じていたほか、代金決定の場面で受注者側が発注者との協議を十分に持てないまま金額を押し付けられる、支払いに手形が用いられることで資金繰りに負担が生じるといった課題も指摘されてきました。取適法は、こうした実務上の課題に対応し、取引の適正化と価格転嫁の定着を後押しするために制定されたものです。

3. 主な改正のポイント

(1)適用対象の拡大

  • これまでの資本金基準に加え、新たに従業員数を基準とする区分が設けられました。目安として、製造委託・修理委託等の分野では従業員数300人を超える事業者、役務提供委託等の分野では100人を超える事業者も、委託事業者として規制の対象に含まれることとなります。
  • 物流分野における取引環境の改善を図るため、荷主企業が運送事業者に対して物品の運送業務を委託する取引(特定運送委託)についても、新たに規制の枠組みに組み込まれました。

(2)新たな禁止行為の追加

  • 中小受託事業者から代金についての協議を申し入れられたにもかかわらず、これに応じないまま委託事業者側の判断のみで金額を決めてしまう行為は、新たな禁止事項として位置付けられました。明確な拒否だけでなく、申し入れへの回答を怠る、結論をいたずらに先送りするといった形で実質的に協議の機会を奪うような対応も、違反と評価され得る点に注意が必要です。
  • 代金を口座振込で支払う際に発生する振込手数料を中小受託事業者側の負担とし、支払額からあらかじめ差し引くという運用は「減額」の一類型に当たるものとして、禁止対象であることが明らかにされました。

(3)手形払い等の見直し

  • 支払手段として手形を用いること自体が、原則として認められなくなります。あわせて、紙の約束手形・小切手は2027年3月末をもって利用の終了が予定されており、企業には決済手段の切り替えに向けた準備が求められます。
  • 電子記録債権やファクタリングを利用した支払いであっても安心はできません。支払期日を迎えた時点で、手数料等が差し引かれることなく代金の全額を受け取れる仕組みになっていない場合は、同様に禁止の対象となります。

(4)勧告制度・報復措置禁止の強化

  • 調査を受けた委託事業者が、勧告が出される前の段階で自主的に是正を済ませていたとしても、それだけで勧告を免れるわけではなく、再発防止に向けた取組みを促す勧告が別途行われる運用に改められました。
  • 声を上げた中小受託事業者が不利益を被ることのないよう、報復的な取扱いを禁止する規定が強化され、あわせてその通報を受け付ける窓口についても、公正取引委員会・中小企業庁長官に加え、当該取引の分野を所管する大臣が新たに加わりました。

(5)フリーランス・事業者間取引適正化等法との関係

中小受託事業者がフリーランス(特定受託事業者)にも該当する場合において、取適法とフリーランス・事業者間取引適正化等法の双方に違反する行為が委託事業者から行われたときは、原則としてフリーランス・事業者間取引適正化等法が優先的に適用されます。

4. 企業に求められる対応

取適法の施行に伴い、委託事業者・中小受託事業者のいずれの立場においても、自社の取引を改めて点検し、必要な体制を整備することが求められます。特に、これまで下請法の対象外であった取引先(資本金基準を満たさない法人や個人事業主等)についても、従業員基準の新設により新たに対象となる可能性があるため、取引の洗い出しが不可欠です。

  1. 自社が行う業務委託取引を洗い出し、資本金基準・従業員基準への該当性を確認し、取適法上の委託事業者・中小受託事業者に当たる取引を整理する。
  2. 契約書・発注書のフォーマットを見直し、書面の作成・保存義務に対応できる体制を構築する。
  3. 価格協議の実施・記録の方法や、代金の支払方法(手形払いの見直し等)について、社内規程を整備する。
  4. 営業・購買・経理部門等の担当者に対し、新たな禁止行為や手続について周知・教育を行う。
  5. 公正取引委員会・中小企業庁による指導・勧告等が行われた場合の対応フローをあらかじめ整理しておく。

5. 当事務所がご提供するサポート内容

当事務所では、取適法への対応を検討される企業に向けて、以下のようなリーガルサービスをご提供しております。

(1)取引の該当性調査・リスクチェック

御社の取引先や契約内容をお伺いした上で、取適法上の委託事業者・中小受託事業者に該当するか否か、また、現行の取引慣行に法令違反のおそれがないかを調査・分析いたします。

(2)契約書・発注書等の見直し

取適法が求める書面の記載事項を踏まえ、契約書・発注書・注文請書等の各種書式について、実務に即した見直しをご支援いたします。

(3)社内規程・運用体制の整備

価格協議の実施方法、支払条件の管理、書面の保存方法など、社内における運用ルールの整備をサポートいたします。

(4)社内研修の実施

営業・購買・経理担当者向けに、新たな禁止行為や実務上の留意点をわかりやすく解説する研修・説明会を実施いたします。

(5)公正取引委員会・中小企業庁対応

調査や勧告等の対応が必要となった場合には、事実関係の整理から関係当局とのやりとりまで、一貫してサポートいたします。

(6)顧問契約による継続的なサポート

取適法に限らず、日常的な契約審査や取引先とのトラブル対応を含め、企業法務全般について継続的にご相談いただける顧問契約もご用意しております。

6. ご相談の流れ

(1)初回ご相談・ヒアリング

貴社の事業・対応が必要な業務・スケジュール等をヒアリングいたします。オンラインでのご相談も承っております。

(2)業務範囲の確定・お見積もりの提示

ヒアリング内容をもとに、対応する業務の範囲と費用の目安をご提示いたします。ご確認・ご同意いただいた後、正式にご依頼をお受けいたします。

(3)ご依頼・業務への着手

ご依頼いただける場合、業務に着手いたします。

7. お問い合わせ

取適法業務についてのご相談・お見積もりのご依頼は、以下の方法よりご連絡ください。初回相談は無料です。秘密厳守のうえ対応いたします。

  • お問い合わせフォーム:ホームページのお問い合わせフォームからご連絡ください。
  • お電話:03-6272-6466 受付時間内にご連絡ください(平日 9:30〜17:30)。
  • オンライン相談(Zoom等)も承っております。

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