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企業法務に強い弁護士を探す方法(中堅・中小企業向け)
投稿日 : 2019年04月04日企業法務(ビジネス関係の法務)に強い弁護士を探す方法について解説します。本稿では中堅・中小規模の会社が弁護士を探すことを前提とします。
紹介を受ける方法
これは知人などから弁護士の紹介を受けるという方法です。今も昔も最もポピュラーな方法であるといえます。
紹介を受ける場合、紹介者となる知人に依頼して弁護士に連絡を取ってもらいます。具体的には、まず紹介者から弁護士に対して自社(弁護士からすると潜在的依頼者)や依頼事項について概要を説明してもらいます。弁護士は紹介者から得た情報に基づき、受任に関して利益相反(コンフリクト)がないか、受任できそうな案件であるかを検討します。弁護士から相談に応じるとの回答を得た場合、自社と弁護士とで直接連絡を取り合い、面談を行うことになります。
紹介を受ける方法のメリットと留意点は以下のとおりです。
【紹介を受けるメリット】
- 紹介者が信用できる方である場合、その方が紹介する弁護士も信頼できる弁護士であることが期待できます。紹介者にとって評価が今一つの弁護士を人に勧めることは通常しないはずです。その意味で、紹介を受けることによって一定のスクリーニングを経た弁護士に出会うことができるといえます。
- 弁護士の側から見ると、紹介者は過去の依頼者であったり付き合いのある方であったりします。そのような紹介者との関係上、紹介を受けた会社に対しては丁寧に対応してくれるはずです。
- 同じく弁護士の側から見ると、紹介される会社は紹介者によってスクリーニングを経ているといえます。紹介者としても問題のある会社を弁護士に紹介することは通常しないからです。そのため、弁護士は紹介される会社について「安心できる会社であろう」と思って接してくれます。
【紹介を受ける場合の留意点】
- 紹介によって知り合える弁護士の良し悪しは紹介者の目利きや依頼経験によって左右されます。単に弁護士と知り合いであるというだけで実際に依頼をしたことがない場合にはほとんどスクリーニングの効果は期待できないと考えるべきです。
- 紹介によって知り合える弁護士の範囲は限られています。弁護士を紹介してくれるような紹介者はそれほど多くないでしょうから、紹介によって知り合える弁護士の範囲にも当然限界があります。
- 弁護士には得意な分野とそうでない分野があります。紹介者が過去の依頼について満足できたとしても、それは偶々その弁護士の得意分野であったからかも知れません。自社が依頼しようとしている案件が紹介される弁護士の得意分野であるかは分かりません。
- 紹介を受けた弁護士に案件を依頼したところ、後になってその弁護士の仕事の進め方に不満に思うことがあるかも知れません。そうであっても、紹介者との関係上、途中で弁護士を変更しにくくなると思われます。
自治体の法律相談
自治体では法律相談を実施しているところがあります。もっとも、自治体の法律相談では主に個人を対象としているところが多いと思われます。
弁護士会の法律相談
都道府県ごとに運営されている各地の弁護士会では法律相談を実施しています。法律相談は個人のみならず、企業からの相談も受け付けています。
また、全国組織である日本弁護士連合会では中小企業を対象として電話で弁護士との面談予約ができるサービスを提供しています(ひまわりほっとダイヤル)。そのようなサービスを利用することも可能です。
法律雑誌の記事や法律に関する書籍から探す方法
弁護士は自らの専門分野に関して法律雑誌に記事を寄稿したり、本を執筆したりすることがあります。そのような弁護士は対象となる法律分野について相応の専門性を有していると考えられます。
法務部を持っている会社や法務担当者を置いている会社であれば、そのような法律雑誌や書籍を手掛かりに弁護士情報を得ることができると思われます。他方で、法務についてそのような体制の整っていない会社では法律雑誌や書籍から専門性を判断して弁護士を探すのは容易ではないと思われます。
ネットで探す方法
ネットで探す方法には弁護士紹介サイトを利用する方法と個々の法律事務所・弁護士のホームページから探す方法があります。
(1)弁護士紹介サイト
弁護士紹介サイトは多数の弁護士が掲載されていることから、多くの弁護士情報を得ることができるメリットがあります。他方で、そのような紹介サイトを利用するにあたっては、サイトの仕組みを理解しておく必要があります。
弁護士紹介サイトを通じた紹介ではサイト利用者(潜在的な依頼者)が料金を支払う必要がありません。その代わり、紹介を受ける弁護士がサイトに対して掲載料を支払っています。言わば、弁護士の広告を紹介サイトが代行しているといえます。そのため、紹介サイトにおいて特定の弁護士がお勧めとして推奨されていても、それは弁護士の能力や評価とは関係がないと考えられます。例えば、クリックされやすい場所・順位に掲載される弁護士はより高い広告料金を払っているだけ、という可能性があります。
(2)個々の法律事務所・弁護士のホームページ
現在、多くの法律事務所や弁護士がホームページを開設しています。ホームページではその弁護士のプロフィールとともに業務案内・取扱業務が掲載されています。そのような情報を手掛かりに自社に適していると考えられる弁護士を探すことも可能です。
【ホームページから探すメリット】
- ホームページには弁護士のプロフィールや得意分野、業務案内等が掲載されています。ホームページに掲載された情報から自社の問題について経験があるか、対応可能であるかを確認することができ、自社に適した弁護士を探すことができます。
- 多くの法律事務所や弁護士の中から弁護士を探すことができます。人から紹介を受ける方法と比べるとその選択肢の数は極めて多いといえます。
- ホームページにお問い合わせ方法を掲載している事務所は紹介者がいなくても依頼を受け付けています。面識のない弁護士であっても依頼をするハードルが低いといえます。
【ホームページから探す場合の留意点】
- ホームページは法律事務所や弁護士が主に依頼者の獲得を目的として開設しているものです。あくまでも広告であることに留意しておく必要があります。もっとも、弁護士は弁護士会の規則上、広告について他の業界には見られない厳しい制約を受けています。ホームページに掲載する情報はそのような規制を踏まえた内容となっているはずです。
- ホームページによっては内容が不足していたり、弁護士費用など知りたい情報が掲載されていないことがあります。また、人からの紹介を主な顧客獲得の方法としている事務所ではホームページに力を入れていないことがあります。
弁護士との相性の問題
個人の方からの依頼であっても企業法務であっても法律サービスを提供するのは弁護士個人です。弁護士の経験・能力はもちろん重要ですが、弁護士との相性も依頼を検討するにあたって重視したいポイントです。
案件の進め方やコミュニケーションのとり方、依頼者に接するスタンスなど弁護士によって千差万別です。何が正しいというものはなく個々の弁護士のポリシーやパーソナリティの違いに依るところが大きいといえます。依頼者の方としては正式に依頼する前に弁護士との面談等を通じて見極める必要があります。
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サイト管理人/コラムの著者
弁護士 赤塚洋信
アドバイスの実績は100社以上。
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