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会社法

役員の退職慰労金を支給する手続き

投稿日 : 2018年05月16日

役員の退職慰労金に関する会社法上の規定や判例について解説します。本稿の解説は取締役の退職慰労金に関するものです。なお、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は本稿の対象ではありません。

退職慰労金以外の通常の役員報酬についてはこちらの記事(役員報酬を決定・変更するための手続き)をご覧ください。

役員の退職慰労金に関する会社法の規定

退職慰労金に関する会社法の規定は以下のとおりです。

第361条(取締役の報酬等)

取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額

二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法

三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

(以下略)

退職慰労金は株主総会の決議によって定める

退職慰労金は、上記の会社法の規定にある、「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益」に該当します。そのため、退職慰労金を支給するためには定款又は株主総会の決議が必要となりますが、定款で退職慰労金を定めることはまれであり、通常は株主総会の決議によって定めることになります。例えば、「取締役○○氏に対し退職慰労金として○○円を支払う」旨を決議することになります。

退職慰労金の金額等の決定を取締役会に委任する方法

退職慰労金は役員にとって個人の報酬となります。実務上は、個人の報酬が明らかになることを避けるため、株主総会では具体的な金額を開示せず、その決定を取締役会に委任することが行われています。もっとも、株主総会において金額の基準が全く分からないままでは株主としてもその決議の可否を判断することができません。そこで、無条件に取締役会に決定を委任するのではなく、何らかの方法でその支給に関する基準を示し、具体的な金額等はその基準によるべきことを示して取締役会に決定を委任する方法がとられています。そのような方法であれば有効と解されています。

この支給に関する基準とは会社の正式な規程(役員退職慰労金規程)という明文で定められているのが望ましいといえますが、必ずしも正式な規程である必要はなく、基準として機能するのであれば確立した慣行という形式であっても差し支えないと解されています。

株主総会の決議において退職慰労金の支給基準を示す方法

上記のとおり退職慰労金の金額の決定を取締役会に委任する場合、株主総会参考書類(招集通知に添付されるもの)においてどのような基準に基づいて決定するかを記載しなければなりません。ただし、各株主が当該基準を知ることができるようにするための適切な措置が講じられている場合には、株主総会参考書類への基準の記載は不要とされています。

適切な措置としては、例えば支給基準を会社の本店に据え置き、株主が閲覧できるようにしておくことが考えられます。

なお、支給基準を知ることができるようにするための適切な措置がとられていても、株主総会において株主から支給基準について質問がなされれば取締役はこれを説明しなければなりません。

株主総会の決議がない場合

退職慰労金の支給について株主総会における決議がない場合、取締役には退職慰労金請求権は発生しません。このことは社内規程や慣行において支給基準が定められている場合であっても変わりありません。取締役としては社内規程や慣行があれば当然自分も退任時に退職慰労金が支給されると期待するところですが、会社法上の手続きがなされなければ法的には請求権が発生しません。

しかし、上記のルールを厳格に貫くと具体的な事案においては退任する取締役にとって酷である場合もあります。このことは、特に支配株主が存在するオーナー会社の取締役がオーナーと不仲になって退任するようなケースで生じやすいと思われます。そこで、判例においては、実質的な株主が退任する取締役に対する退職慰労金の支給を承諾して支給した場合には、仮に株主総会の決議がない場合であっても適法な退職慰労金の支給であると判断したものがあります。この場合、株主総会において株主の賛同が得られたのと同視できるからです。



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