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会社法

取締役を選任する手続きと任期

投稿日 : 2018年03月12日

取締役の選任・任期に関する会社法上の規定について解説します。なお、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は本稿の対象ではありません。

取締役は株主総会で選任する

会社法上、取締役は株主総会の決議によって選任するものとされています。この株主総会の決議は普通決議事項とされています。普通決議事項とは、議決権ベース(人数ベースではない)で過半数の株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数で決議する事項です。

株主総会で選任された取締役がその役職就任を承諾することで正式に取締役として就任することになります。実務では株主総会の選任に先立って取締役の就任承諾を得ておきます。そのため、株主総会で選任された後で就任の諾否が問題になるケースは見られないといえます。

一定の制限の下で株主総会における決議要件を変更することもできる

上記のとおり、取締役は株主総会の普通決議によって選任されます。この普通決議の要件は定款により変更することができますが、取締役を選任する場合には一定の制限があります。具体的には、当該制限の下で取締役の選任に関する株主総会の決議要件は以下のとおり変更することができます。

  • 定足数は議決権の三分の一以上の割合に変更することができる。(これにより、例えば定足数の要件を軽減して議決権の三分の一とすることや、逆に加重して三分の二などとすることが可能となります。)
  • 決議要件は過半数を超える割合とすることができる。(これにより、例えば決議要件を加重して三分の二などとすることが可能です。軽減することはできません。)

なお、取締役(役員)の選任に関する決議ではない普通決議においては、定足数の要件を完全に排除することも可能です。

特殊な選任方法

(1)累積投票

普通決議の場合、過半数の議決権を有している株主がいれば当該株主が全ての取締役を選任することができてしまいます。例えば、仮に取締役を5名選任する場合において第2位株主として40%の議決権を保有する株主がいても、その株主は1名の取締役も選任できないおそれがあります。

累積投票は、複数の取締役を選任する場合において少数派株主にも取締役の選任の機会を与えるための決議方法です。これは取締役の選任に関する決議について特別に認められているもので、普通決議とは異なります。

累積投票においては1株につき1個の議決権ではなく、1株(又は1単位株)につき選任する取締役の数と同数の議決権を有することになります。例えば、5名の取締役を選任する場合、4株保有している株主は20議決権(5×4)を有し、その20議決権を1名の取締役候補者に集中して投票することができます(分散して投票することもできます)。そのようにすることで少数派株主にも保有割合に応じて取締役を選任する機会を与えられることになります。

株主は普通決議に代えてこの累積投票を行うべきことを請求できるとされていますが、累積投票は定款で排除できるとされており、多くの会社では定款で累積投票を排除しています。そのため、累積投票によって取締役を選任することは実務上あまりみられないようです。

(2)種類株主総会における選任

取締役の選任に関する種類株式が発行されている会社においては、種類株主総会において取締役を選任することができます。種類株主総会は特定の種類の株式の株主のみで構成される株主総会です。累積投票とは異なり、種類株主総会であれば少数派株主であっても確実に取締役を選任することができます。合弁会社やベンチャー企業において利用されることがあるようです。

(3)補欠取締役

補欠取締役とは、取締役に欠員が生じてしまう場合に備えて予め株主総会で選任しておく役員です。例えば、定款で取締役3名とされている会社において取締役1名が亡くなってしまった場合、定員を欠くことになってしまいます。そこで、補欠の取締役を選任しておき、欠員を埋めることができるようにするのが補欠取締役の制度です。

(4)一時取締役

取締役に欠員が生じた場合において、裁判所は必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時的に取締役としての職務を行うべき者を選任することができるとされています。そのようにして選任された取締役が一時取締役です。一時取締役は通常の取締役と選任手続きは異なるものの、同じ権限を有すると解されています。

取締役の欠格事由

会社法では取締役の欠格事由を定めています。欠格事由のいずれかに該当する場合、取締役に就任することはできません。具体的な欠格事由は以下のとおりです。

(1)法人(すなわち、自然人でなければ取締役にはなれません)

(2)成年被後見人、被保佐人、外国の法令上これと同様に取り扱われている者

(3)会社法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律、金融商品取引法、民事再生法、破産法、又は会社更生法に規定する罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなってから2年を経過しない者

(4)上記(3)以外の法律に違反し、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)

なお、旧商法では破産手続きの開始決定を受けて復権していない者は欠格事由とされていましたが、会社法では欠格事由とはされていません。そのため、破産手続きの開始決定を受けて復権する前であっても取締役に就任することができます。もっとも、破産手続きの開始決定を受けると一旦取締役の地位を失うので、引き続き取締役の職務を行うためには改めて取締役として選任される必要があります。

定款による資格制限

定款によって取締役の資格を制限することもできると解されています。ただし、公開会社(株式の譲渡制限がない会社)においては、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができないとされています。これに対し、非公開会社(株式の譲渡制限が付された会社)においてはかかる制限を定款で定めることも許されます。

取締役の員数

会社法上、取締役会設置会社においては取締役は3名以上でなければならないとされています。これに対し、取締役会を設置していない会社においては取締役を1名又は2名とすることもできます。また、取締役会の設置の有無にかかわらず、取締役の数には上限はありません。

取締役の任期

取締役の任期は原則として2年です。例えば、ある年度の定時株主総会で選任された取締役の場合、その2年後の定時株主総会の終結をもって当該取締役の任期が満了します。厳密に言うと「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」とされています。

会社の種類を問わず、定款又は株主総会の決議によって取締役の任期を短縮することができます。例えば、任期を1年とすることが可能です。

さらに、非公開会社(株式の譲渡制限が付された会社)であれば、取締役の任期を最大で10年まで伸長することもできます。

取締役の任期は定款に定めます。

取締役の選任に関する登記

取締役の選任は登記事項とされています。そのため、選任後、その旨を登記することになります。
  


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