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契約書

契約を解除する方法

投稿日 : 2019年02月19日

企業間で締結された契約を解除する方法について解説します。以下では、契約解除の意味、解除ができる場合、解除の効果、解除の注意点についてそれぞれ説明します。

契約の解除

契約の解除とは

契約の解除とは、一定の解除事由があることを前提に、解除する当事者の一方的な意思表示によって契約を解除することです。解除によって契約は遡って消滅し、契約上の義務を履行する必要はなくなります。また、各当事者は契約がなかった状態に戻すため、契約に基づいて受けた給付を相手方に返還する義務を負います(原状回復義務といいます)。

合意解約(合意解除)との違い

合意解約(合意解除)は、両当事者の合意に基づいて契約を解消することです。合意ベースのものなので一応両当事者が契約の解消について了承しているといえます。これに対し、一般的な意味の解除の場合には解除する当事者の一方的な意思表示によって行うことができ、相手方当事者の同意が不要である点で異なります。

合意解約(合意解除)の場合には、通常当事者間で協議が行われ、協議に基づいて解消の条件を合意しますが、一般的な意味の解除の場合には必ずしもそのような協議が行われるとは限りません。

期間満了による契約の終了との違い

契約期間の満了による終了は、契約締結時に定められた時期に契約が自動的に効力を失うものです。当事者の意思表示によって契約が終了するわけではありません。

期間満了による終了の場合、契約に従って期間内に行われた行為は有効です。これに対し、解除の場合には契約に従って行われた行為は有効ではなくなり、各当事者は契約がなかった状態に戻す必要があります。

契約違反(債務不履行)を理由とする解除

契約解除ができる典型的なケースは、契約の相手方に契約違反(債務不履行)があった場合です。すなわち、契約の相手方が契約で定められた義務を履行せず、契約違反の状態に陥っているようなケースです。

例えば、自社が取引先からある商品を購入する契約を締結した場合において、当該取引先が契約上定められた日までに商品を納入しないような場合、又は納入された商品に不具合があるため取引先に対して交換を求めている場合などが考えられます。

あるいは、上の例とは逆に、自社が取引先に対してある商品を売却する契約を締結した場合において、自社が商品を納入したにもかかわらず、取引先が代金を支払わない場合も相手方が契約違反の状態にあるといえます。

自社としては少しの間であれば待つことはできるでしょうが、相手方が債務を履行することの期待が持てない場合や遅れが長引くことでビジネスのタイミングを逸してしまうおそれがある場合には契約を解除して契約が無かった状態に戻したいと考えるはずです。そのような場合には相手方の契約違反を理由に契約を解除することができます。

ただし、契約の解除をすることができるのは、契約上自社の側が先履行とされている義務を履行していること、又は相手方の義務と同時履行の関係に立つ義務を履行していることが前提です。相手方が給付を受領しなくとも履行を提供するだけでも足ります。

契約違反を理由とする場合の解除の手続きとしては、まず契約の相手方に対し相当の期間内に契約を履行するよう催告をします。その期間内に相手方が契約を履行しない場合には自社は契約を解除することができるようになります。

催告は契約の相手方にとって履行の機会を与えるためです。この催告に必要な「相当の期間」がどの程度であるかはケースバイケースです。債務の内容や取引の事情によって異なります。

催告後、相当期間内に相手方が履行をしなかった場合、自社は解除の意思表示をすることで契約を解除することができます。この解除の意思表示は記録に残すため、通知書を送付する方法で行うのが通常です。実務上は内容証明郵便を用います。

契約上定められた解除事由に該当する場合の解除

相手方に契約上の義務の不履行がなくとも契約で定められた解除事由に該当する場合には解除をすることができます。例えば、多くの契約では一方の当事者が以下のような事由に該当した場合、他方の当事者は契約を解除することができるとされています。

(1)監督官庁より営業の許可の取消し等の処分を受けたとき
(2)支払停止又は支払不能の状態となったとき
(3)手形又は小切手が不渡りとなったとき
(4)差押え、仮差押え、仮処分、担保権の実行又は公租公課の滞納処分を受けたとき
(5)破産、民事再生、会社更生又は特別清算の手続開始の申立てを受け、又は自ら申し立てたとき
(6)解散の決議を行ったとき
(7)合併、会社分割又は事業譲渡等の組織再編行為を行ったとき

上記のような事由が生じたときに契約を解除できるとされているのは、契約の相手方の信用状態が著しく悪化するなどして契約を継続するための前提が損なわれるからです。

解除事由に該当する場合には特に催告を要することなく解除できる(無催告解除といいます)ことが通常です。催告をすることによって事態が改善するわけではないからです。

請負契約と委任契約の解除

請負契約と委任契約に関しては民法上、特別な解除権が認められています。すなわち、請負契約においては、契約の対象となった業務が完了する前であれば、注文者はいつでも契約の解除をすることができるとされています。ただし、解除をする注文者は請負人に対して損害を賠償しなければなりません。

また、委任契約においては、各当事者(委任者と受任者のいずれも)がいつでも契約を解除することができます。ただし、委任契約の解除は将来に向かってのみ効力を有するので、既になされた委任事務の対価は支払わなければなりません。また、相手方にとって不利な時期に委任契約を解除した場合には損害賠償義務を負います。

その他の事由に基づく解除

これまでに述べたような契約違反があった場合や契約の解除事由に該当する場合以外にも契約を解除できる場合があります。以下のとおりです。

(1)定期行為

契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、契約の相手方が履行をしないでその時期を経過したときには、催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができます。例えば、クリスマス用の商材を仕入れた場合において、クリスマスを経過しても商品が納入されなかったようなケースです。

(2)契約の履行が不可能となった場合

債務の全部の履行が不能となった場合も催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができます。また、債務の一部の履行が不能となった場合であって、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができない場合も同様です。

(3)契約の相手方が契約の履行を拒絶した場合

契約の相手方が債務の履行を拒絶して催告に応じる意思がないような場合にも催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができると解されています。

契約解除の効果

契約が解除された場合の効果は以下のとおりです。

(1)契約上の債権・債務の遡及的な消滅

解除の効果には諸説ありますが、一般的な解釈としては解除によって契約上の債権・債務が遡及的に消滅すると解されています。すなわち、契約上の債権・債務がはじめから生じなかったものとして扱われ、契約上の義務を履行する必要はなくなります。

(2)原状回復義務

契約が解除されると各当事者は契約がなかった状態に戻す義務を負います。例えば、契約に基づいて給付された物(財物や金銭)があればそれを相手方に返還しなければなりません。これを原状回復義務といいます。

(3)損害賠償義務

正確には解除から導かれる効果ではありませんが、解除の原因の多くは相手方の契約違反です。そのため、解除できる当事者は相手方に対して契約違反によって被った損害の賠償を求めることができます。解除によって双方の権利・義務は消滅しますが損害賠償請求権は存続します。

契約違反による損害賠償について詳しくは契約違反に基づく損害賠償をご覧ください。

将来に向けた契約解除

契約の中には1回きりの単発の取引もあれば、一定期間継続して行われる類型のものもあります。後者の契約の例としては、建物賃貸借契約や雇用契約、委任契約などがあります。このような契約の場合、解除によって過去に履行された部分が無効になってしまうのは不都合です。そこで、このような類型の契約の解除においては、将来に向けて契約の効力がなくなります。

契約解除の注意点

契約を解除する場合には以下の点に注意する必要があります。

(1)契約違反が軽微な場合は解除できない

契約違反といっても重大なものから軽微なものまで様々な態様があります。相手方に契約違反があった場合であっても、その違反が軽微なものであって契約の目的を達するのに必須とはいえないような場合には契約を解除することはできないと解されています。

(2)継続的契約の解除が制限される可能性

継続的な取引を目的とした契約であって長年に亘って契約が継続更新されているような場合、契約の条項からすれば解除ができるはずであるにもかかわらず、解除が認められない場合があります。例えば、販売代理店契約や長期間の下請関係にある契約などがその典型例です。

このような継続的な契約においては当事者に契約継続に対する期待が生じていることから、一方の当事者による解除が制限される傾向にあります。そのような契約の場合、解除前に相当の予告期間(数か月から1年程度)を設けるなどして解除される相手方に配慮しなければならないケースがあります。

(3)解除理由が間違いなく存在することの確認

解除理由がないにもかかわらず、相手方に契約解除を通知してもそのような解除は無効です。仮に有効に契約が解除されないまま自社が義務の履行を怠ると、自社の側が契約違反の責任を負うことになります。そのため、契約の解除をするにあたっては解除理由が法的に認められるものであるかを慎重に検討しなければなりません。また、催告や解除通知の手続きも適式に行う必要があります。

(4)可能な限り合意解約を目指すべきこと

自社による一方的な解除は相手方の反発を招き、トラブルに発展する可能性があります。そのため、可能な限り合意ベースで契約の解約を目指すのが安全であるといえます。合意解約の場合、相手方の同意を得るために自社の側で何らかの譲歩をせざるを得ない場合もあるかも知れません。しかし、トラブルがもつれて訴訟になることのリスクを考えると、ある程度譲歩してでも合意解約とする方が有利なことが多いと思われます。
  


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