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契約書

取引基本契約書の実践的雛形

投稿日 : 2018年03月06日

取引基本契約の実践的な雛形を示します。

取引基本契約書

取引基本契約とは

取引基本契約は複数回に亘って継続的に行われる取引に共通して適用される契約条件を定めた契約書です。取引基本契約をベースとして締結される個々の契約が個別契約となります。通常、取引基本契約において、対象となる取引、支払条件、納品・検査に関する条件、保証内容といった諸条件が定められ、個別契約において具体的な商品・サービス、数量、代金等が定められます。このような基本契約+個別契約という形式をとることによって個々の契約を迅速かつ安定して進めることができるようになります。

取引基本契約書の実践的な雛形 

取引基本契約書の雛形は以下のとおりです。



取引基本契約書

○○株式会社(以下、「買主」)と△△株式会社(以下、「売主」)は以下のとおり取引基本契約(以下、「本契約」)を締結する。

第1条 (目的)

本契約は、両当事者間におけるXX製品(以下、「本製品」)の売買取引に共通して適用される基本的な契約条件を定めることを目的とする(以下、「本目的」)。

第2条 (適用範囲)

(1)  本契約に定める取引条件は、両当事者間における本製品の個別の売買契約(以下、「個別契約」)に適用されるものとする。

(2)  本契約の定めと個別契約の定めが異なる場合、個別契約の定めが優先するものとする。

第3条 (個別契約)

(1)  個別契約においては、製品名(製品番号・型番・仕様等)、数量、代金、納期、納品場所、代金支払期日、その他取引に必要な条件を定めるものとする。

(2)  個別契約は、買主が上記(1)の各事項を記載した発注書を売主に送付し(電子データを送信する方法も含む。以下同じ。)、売主がこれに対する請書を買主に送付することによって成立する。

(3)  売主は、発注に先立って買主から見積書の要求があった場合は、見積書を買主に送付するものとする。

(4)  売主は、買主に請書を送付する前はいつでも、個別契約の内容について買主に協議を求めることができる。

(5)  個別契約の成立後、必要がある場合には、両当事者は合意により個別契約の内容を変更することができる。

第4条 (製品の納品)

(1)  売主は、個別契約の内容に従い、本製品を買主に納品するものとする。本製品の運送費その他の納品に要する費用は売主が負担するものとする。

(2)  売主は、本製品の納品が納期に間に合わないおそれが生じた場合、遅滞なく買主に通知し、対応を協議するものとする。ただし、かかる通知をしても売主は納期に間に合わないことに関する責任を免れない。

第5条 (検査)

(1)  買主は、納品後__日以内に納品された本製品を検査するものとする。検査の方法については両当事者協議のうえ合意により定めるものとする。

(2)  買主は、検査において種類、品質又は数量に関して本契約及び個別契約の内容に適合する本製品を受け入れるものとし、これに適合しない(以下、「不適合」)と認められる本製品がある場合、売主に対してその旨を通知するものとする。前項の期間内に通知がなされなかった場合、買主は本製品を受け入れたものとみなす。ただし、検査による発見が困難な不適合の本製品についてはこの限りでなく、第11条が適用されるものとする。

(3)  買主は、前項の検査で発見された不適合の本製品に関し、売主に対して修補、代替となる製品の納入又は不足分の納品を請求することができる。かかる通知後、相当の期間が経過しても売主が修補、代替となる製品の納入又は不足分の納品をしない場合、買主はその不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

(4)  不適合の本製品であっても、その不適合の程度が軽微であると認められる場合、買主は当該不適合の本製品を受け入れることができる。

(5)  本条の規定は、不適合の本製品によって買主が損害を被った場合における、買主から売主に対する損害賠償の請求を妨げない。

第6条 (代金の支払い)

(1)  本製品の代金の支払期日は、個別契約で異なる定めのない限り、納品がなされた月の翌月末とする。

(2)  買主は支払期日までに本製品の代金を売主に支払うものとする。

(3)  売主は、納品がなされた月の翌月__営業日目までに請求書を買主に送付するものとする。

(4)  買主は、売主が買主に対して負担する債務がある場合、当該債務と本製品の代金支払債務とを対当額で相殺することができる。

第7条 (所有権)

本製品の所有権は、本製品が第5条の検査に合格してこれを買主が受け入れた時点で買主に移転するものとする。

第8条 (危険負担)

(1)  納品前に生じた本製品の滅失、損傷等の損害は、売主の負担とする。ただし、買主に責任がある場合はこの限りでない。

(2)  納品後に生じた本製品の滅失、損傷等の損害は、買主の負担とする。ただし、売主に責任がある場合はこの限りでない。

第9条 (仕様・品質基準)

(1)  本製品の仕様、規格及び品質基準は以下のいずれかの方法によって定めるものとする。

ア     売主が買主に示したカタログ、図面、仕様書及びこれらに準じる書面(以下、「仕様書等」)

イ      買主が売主に示した仕様書等

ウ     両当事者で合意した仕様書等

(2)  売主は、前項の仕様及び規格に合致し、品質基準を満たす本製品を買主に納入するものとする。

(3)  売主は、本製品の品質を維持、管理するために必要な製造工程を確立し、品質管理体制を整備するものとする。買主は、売主の製造工程や品質管理体制を確認するために必要な範囲で売主の施設に立ち入ることができる。

第10条    (本製品の第三者への販売の禁止)

売主は、本製品が買主のための特注品である場合、本製品を買主以外の第三者に販売してはならないものとする。ただし、本製品を買主以外の第三者に販売しても買主に不利益とならない場合はこの限りでない。

第11条    (瑕疵担保責任)

(1)  本製品に第5条の検査によっては発見できない不適合があった場合には、買主は売主に対してその旨を遅滞なく通知するものとする。この場合、買主は売主に対して第5条(3)に定める請求をすることができる。

(2)  前項の通知は本製品の引渡し後__ヶ月以内に行わなければならない。かかる期間の経過後は買主は売主に対して本製品の不適合について前項の請求はできないものとする。

第12条    (製造物責任)

(1)  売主は、本製品の欠陥(通常有すべき安全性を欠いていることをいう。以下同じ。)により第三者の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた第三者の損害を賠償するものとする。

(2)  本製品の欠陥に関して買主が第三者に金銭を支払った場合や、対応のために費用(弁護士費用を含む)を支出した場合、買主は売主に対して損害を賠償するものとする。

第13条    (支給品)

(1)  本製品の製造のために必要がある場合には、買主が売主に対し原材料又は部品等を有償又は無償で支給することがある。この場合、両当事者は支給の条件に関して協議するものとする。

(2)  売主は、買主から支給品の引渡しを受けたときは第5条の定めに従って支給品を検査し、不適合があれば買主に通知するものとする。

(3)  売主は、有償であると無償であるとを問わず、支給品を本製品の製造の目的のみに使用するものとし、本製品の製造以外の目的に使用してはならない。

(4)  支給品の滅失、損傷等の損害は、支給前は買主の負担とし、支給後は売主の負担とする。

(5)  支給品の所有権は、無償の場合は常に買主に帰属し、有償の場合は支給時に売主に帰属する。

(6)  売主は、有償であると無償であるとを問わず、支給品を善良な管理者の注意をもって保管するものとする。売主は、買主の求めがあった場合、支給品の在庫の数量を通知するものとする。

第14条    (貸与品)

(1)  本製品の製造のために必要がある場合には、買主が売主に対し製造機械、金型、図面等を貸与することがある。この場合、両当事者は貸与の条件に関して協議するものとする。

(2)  貸与品については、前条(3)及び(6)が適用されるものとし、その他必要な事項は両当事者の合意により別途定める。

第15条    (第三者の知的財産権の侵害)

(1)  売主は、本製品が第三者の特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関する権利(以下、「知的財産権」)を侵害していないことを保証するものとする。

(2)  売主又は買主は、第三者より本製品が第三者の知的財産権を侵害している旨の通知を受けたときは、遅滞なく他方の当事者に通知するものとする。侵害の原因が買主の責に帰するものである場合を除き、売主は、第三者との間の知的財産権に関する紛争(訴訟を含む)を自らの費用で解決するものとする。買主がかかる紛争に関して何らかの損害を被った場合、売主は買主に対して損害を賠償するものとする。

第16条    (改良技術)

売主又は買主は、相手方から開示された図面、仕様書その他の情報に基づいて改良技術を開発した場合、速やかに相手方に通知するものとする。改良技術に関する知的財産権の帰属については、改良技術の開発への貢献の程度を考慮の上、両当事者の協議により定める。

第17条    (再委託)

(1)  売主は、あらかじめ買主の承諾を得た場合に限り、本製品の製造の全部又は一部を第三者に委託することができる。

(2)  前項に基づいて売主が第三者に本製品の製造を委託した場合であっても、売主は本契約上の義務を免れないものとし、当該第三者による行為及び本製品の不適合について責任を負うものとする。

第18条    (秘密保持)

(1)  売主及び買主は、本契約の内容、及び、本契約に関して知り得た相手方に関する営業上、技術上又は業務上の情報(以下、「秘密情報」)を秘密として保持し、第三者に対して開示、漏えいしてはならないものとする。

(2)  売主及び買主は、本目的のためにのみ秘密情報を使用するものとし、本目的以外の目的で秘密情報を使用してはならない。

(3)  本条に定める義務は本契約の終了後も__年間は継続するものとする。

第19条    (契約期間)

本契約は締結日より__年間有効に存続するものとする。当事者の一方又は双方が相手方に対し契約期間満了前の__ヶ月前までに本契約の更新を希望しない旨を通知した場合、本契約は契約期間の満了により終了するものとする。かかる通知がなされなかった場合、本契約の契約期間は自動的に1年間延長されるものとし、以後も同様とする。

第20条    (解除)

(1)  両当事者は合意によりいつでも本契約又は個別契約を解除することができる。

(2)  売主又は買主は、相手方が本契約に違反した場合において、相手方に対して履行を催告したにもかかわらず__日以内に違反が是正されないときには、本契約又は個別契約を解除することができる。ただし、違反の程度が軽微である場合にはこの限りでない。

(3)  売主又は買主は、相手方が以下の各号のいずれかに該当した場合には、何らの催告を要せず、本契約又は個別契約を解除することができる。

ア     監督官庁より営業の許可の取消し等の処分を受けたとき

イ      支払停止又は支払不能の状態となったとき

ウ     手形又は小切手が不渡りとなったとき

エ     差押え、仮差押え、仮処分、担保権の実行又は公租公課の滞納処分を受けたとき

オ     破産、民事再生、会社更生又は特別清算の手続開始の申立てを受け、又は自ら申し立てたとき

カ      解散の決議を行ったとき

キ     合併、会社分割又は事業譲渡等の組織再編行為を行ったとき

(4)  本条による契約の解除は、解除した当事者による相手方に対する損害賠償請求を妨げない。

第21条    (期限の利益の喪失)

売主又は買主は、相手方が本契約に違反した場合、又は前条(3)の各号のいずれかに該当した場合、相手方に通知をすることにより相手方が負う本契約又は個別契約上の一切の債務の期限の利益を喪失させることができる。この場合、通知を受けた相手方は直ちに自らの債務を履行しなければならない。

第22条    (契約終了の効果)

(1)  契約期間の満了又は解除によって本契約が終了した場合、売主は買主から受領した仕様書等、支給品及び貸与品を買主に返還するものとする。

(2)  本契約が終了した場合であっても、第11条(瑕疵担保責任)、第12条(製造物責任)、第15条(第三者の知的財産権の侵害)、第18条(秘密保持)、第24条(損害賠償)、及び第27条(合意管轄)の規定は引き続き効力を有するものとする。

第23条    (不可抗力)

当事者の責によることのできない不可抗力によって本契約又は個別契約の全部又は一部が履行できない場合については、いずれの当事者もその責任を負わない。ただし、当該不可抗力によって影響を受けた当事者は、遅滞なく相手方に通知し、その対応について協議するものとする。

第24条    (損害賠償)

(1)  当事者の一方が本契約に違反し、それによって相手方が損害を被った場合、違反した当事者は相手方の損害を賠償する責任を負うものとする。

(2)  買主が本契約又は個別契約の下での代金支払いを怠った場合、売主に対して年14.6%の割合による遅延損害金を支払うものとする。

第25条    (譲渡禁止)

いずれの当事者も、事前に書面による相手方の承諾を得なければ、本契約又は個別契約の下での自己の権利又は義務を第三者に譲渡し、又は担保に供してはならないものとする。

第26条    (協議解決)

本契約に関して生じた紛争については、両当事者が誠実に協議してその解決にあたるものとする。

第27条    (合意管轄)

本契約に関して生じた紛争について前条の協議が整わない場合、__地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所として裁判によって解決する。

本契約の成立を証するため、本契約書2通を作成し、各当事者が記名押印のうえ、各1通を保有する。

令和__年(20XX年)__月__日

買主   東京都xxxxxxxxx

     ○○株式会社

     代表取締役xxxxxxx  印

売主   東京都xxxxxxxxx

     △△株式会社

     代表取締役xxxxxxx  印



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