契約書
契約書の表題(タイトル)
投稿日 : 2018年01月25日契約書の表題(タイトル)について解説します。
契約書の表題(タイトル)の役割
契約書の表題について法律上の決まりはありません。極端な話、表題がなくとも中身に合意内容が明記されていれば有効な契約として成立します。また、表題と中身がマッチしていなくとも、そのことで直ちに契約の効力に影響があるわけでもありません。
しかし、契約書の表題は言わばその契約の「顔」のような存在です。表題はその契約が何に関するものであるかを端的に表現するものであり、一目で主題を明らかにする役割があります。適当に付けることはせず、その契約の内容に最も適した表題を付けるのが望ましいといえます。
定型的な契約の場合の表題(タイトル)の付け方
比較的定型的な契約の場合、一般に使われている表題を使うことで差し支えないと思います。例えば、物の売買であれば売買契約書、貸し借りであれば賃貸借契約書といった具合です。企業間取引で目にすることが多い契約類型としては以下のようなものがあります。
- 秘密保持契約書
- 取引基本契約書
- 業務委託契約書
- 金銭消費貸借契約書(融資契約書)
- リース契約書
- 売買契約書(譲渡契約書)
- 供給契約書(購買契約書)
- 賃貸借契約書
- 工事請負契約書
- ライセンス契約書
- 代理店契約書
- システム開発委託契約書
- 雇用契約書
- 担保設定契約書
- 保証契約書
上記のような契約書は言わば基本形であり、契約の対象が何であるかに応じて様々なバリエーションがありえます。例えば、オフィスビルの賃貸借のための契約書であれば建物賃貸借契約書、株式の譲渡のための契約書であれば株式譲渡契約書とするなどです。
非典型的な契約の場合の表題(タイトル)の付け方
非典型的な契約の場合、その契約の内容に適した表題を考える必要があります。特に、サービス関係の契約は多種多様なものがあり、典型的な契約類型にマッチしないことがあります。あまり考えずに「業務委託契約」とすることでも問題はないでしょうが、サービス名を契約書の表題に取り入れる方が分かりやすい場合もあると思います。例えば、「○○サービス契約書」とするなどです。
また、一つの契約の中に複数の契約内容が含まれる複合的な契約であったり、当事者の数が3者以上になる契約も表題を付けるのに工夫が必要です。このような場合にはケースバイケースで考えるしかありません。適当なものがない場合、あまりスマートではありませんが「○○に関する契約書」又は「〇〇等契約書」とすることでもやむを得ないと思います。(なお、表題の話からは逸れますが、複合的な契約や三者間契約を目にした際には、そもそも2以上の契約に分割した方が適当ではないかという点を検討することをお勧めします。)
契約書の表題(タイトル)にはセンスが問われる
契約書の表題は、その契約の各条項の文言と同様、ドラフティングのセンスが問われます。契約書の表題を一目見て「今回の取引と少し違うのではないか」と感じるような場合、経験上、内容面のクオリティがいま一つであったり、内容が案件にそぐわないといったケースが多いと感じます。
表題は契約書で最初に目に入る文言であり、第一印象を決めるものです。各条項の内容と同様、きちんと文言を練って付けることをお勧めします。
相手方から出てきた契約書の表題(タイトル)に惑わされない
契約書の表題が適切に内容を表現するものであれば良いのですが、そうなっていない契約書のドラフトが多いのも事実です。上で「表題は第一印象」と述べましたが、まさに第一印象に過ぎないわけで、その契約の内容が何であるかは各条項を精査して確認しなければなりません。また、相手方のドラフトの表題が適切でないと感じた場合には修正を提案すべきです。
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