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契約書

契約書の日付(バックデートの可否)

投稿日 : 2018年02月04日

契約書に記載する日付について解説します。併せて、バックデートの可否についても取り上げます。

日付スタンプ

契約書の日付をいつにするべきか

「契約書の日付」は契約書に記載された日付です。例えば、署名欄の近くに「2018年2月4日」などと記載されていればそれが契約書の日付と見られます。

この日付をいつにするべきかは契約書に押印する方法によって異なります。例えば、両当事者の締結権限者が会するなどして同日中に押印するのであれば、契約書の日付は押印日とすることで良いはずです。これに対し、一方の当事者が押印した後で、それを相手方に持参又は郵送する場合には契約書の日付と押印日とが必ずしも一致しないことになります。

そのような場合において自社が先に押印する場合には、
①自社が押印する日付
②後で押印する当事者(相手方)が押印しそうな日付
③事前に相手方と取り決めた日付
のいずれかを選択することになると思われます。

契約書の日付が多少前後しても問題ないようなケースであれば、①の自社が押印する日付とすることで差し支えないと思います。もっとも、相手方が押印する際にはどうしても日付が少し前のものとなってしまいます(細かいことを気にする方は日付が少し前の契約書に押印することに抵抗を感じる向きがあるかも知れません)。相手方がそのような状況になることを回避したいのであれば、上記の②や③の方法をとることが考えられます。

なお、契約日を空欄としておき、後で押印する当事者(相手方)に手書きで埋めてもらうというのはお勧めしません。記載漏れのリスクがあるからです。実際にそのような日付が空欄となったままの契約書は珍しくありません。また、契約日も印字されていた方が見た目の上でもスマートです。

契約書の日付とは別に効力発生日を定めることができる

「効力発生日」とは、文字どおりその契約の効力が発生する日付です。契約において効力発生日を定めておけばその日から効力が発生します。効力発生日の定めがない場合、原則として契約成立から直ちに効力が発生すると考えられます。

この効力発生日をどのように定めるかについては特に法律上の制限はありません。契約締結の翌月からとすることもあるでしょうし、数か月後ということもあると思います。また、契約の効力発生を何らかの条件成就にかからしめることもできます。例えば、申請中の許認可が得られたら発効する、などです。

過去のある時点に遡って契約を適用させる方法

将来の日付とは逆に、過去のある時点から契約を適用したいという場合もあるはずです。例えば、何らかの事情で契約締結が遅れ、実際の取引が先行してしまったり、場合によっては最初から契約の締結を後回しにして納品を優先することもあると思います。そのような場合、契約の締結が取引開始よりも後になってしまいます。しかし、契約に規定した支払条件や保証内容は既に先行している取引にも適用したい。そこで、契約の内容を過去に遡って適用することが行われます。(「遡及適用」といいます。また、そのような効力を「遡及効」といいます。)

過去のある時点にさかのぼって契約を適用させるには、契約の効力に関する条項において、「本契約は、契約締結日にかかわらず、〇〇年〇月〇日より遡及的に効力を有するものとする。」、又は「本契約は〇〇年〇月〇日以降に締結された個別契約に適用するものとする。」などと規定します。

このように契約に遡及効を持たせることは、当事者が合意している以上、有効に行うことができます。

契約日のバックデートは避けるべき

契約日と取引開始日を合わせるために、契約書に記載する日付を実際の締結日よりも早める、いわゆるバックデートが行われることがあります。例えば、実際の締結日は2月10日なのに、月初から有効であったとするために契約書の日付を2月1日とすることなどです。

しかし、契約日のバックデートは避けるべきです。契約日のバックデートは契約書に事実と異なる記載をしたと解されるおそれがあるからです。バックデートが原因でトラブルに発展するケースは多くはないかも知れませんが、契約書は事実に即して正確に記載するべきものです。

上記のとおり遡及効を定めるという契約テクニックがある以上、敢えてバックデートを行う理由はありません。契約の日付はあくまでもその契約が締結された日としておくのが妥当です。

契約書の日付と契約成立日の関係

契約書を作成することが予定されている契約の場合、契約書に両当事者が押印したことをもって契約が成立したことになります。例えば、一方の当事者の押印した日が2月10日で、他方の当事者が押印した日が翌日の2月11日だった場合、契約成立日は後者の日、すなわち2月11日となります。この日に両当事者の押印が揃い、契約が有効に成立したといえるからです。

契約書の日付と契約の成立日は一致することもあれば一致しないこともあります。一致しないとしても通常は1日、2日程度のズレなので問題にはなりませんが、正確には契約書の日付においては未だ契約は成立していなかったということがありえます。

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