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契約書

覚書による契約内容の変更とその注意点【書式例付き】

投稿日 : 2019年03月26日

覚書を用いて既に締結済みの契約書の内容を変更する方法やその注意点について解説します。また、覚書の書式例をお示しします。

契約を変更するための覚書とは

一旦契約を締結した後、様々な理由からその契約内容を一部修正したり、補充したりする必要が生じることがあります。例えば、代金を減額・増額したり、取引条件を見直すなどする場合です。そのような場合、元の契約内容を変更するために覚書を締結することがあります。

覚書というと正式な契約と比較して法的効力が弱まるような語感があります。しかし、契約内容を変更するための覚書は両当事者ともに法的効力を持たせる趣旨で締結するのが通常であり、そのような目的で締結する覚書は「変更契約書」と同視しうるものです。タイトルは覚書とされていても、その実質は法的拘束力のある合意であり、契約を締結するのと同様の注意をもって検討する必要があります。

なお、覚書の法的効力についてはこちらの記事(覚書の効力)をご参照ください。

覚書の書式例

以下では、業務委託契約の内容を変更するための覚書の書式例をお示しします。


覚書

○○株式会社(以下、「委託者」という)と△△株式会社(以下、「受託者」という)は、両当事者間で締結された2018年1月1日付業務委託契約(以下、「原契約」という)に関し、以下のとおり合意する。

第1条(委託料の変更)
原契約第3条に定める委託料「月額90万円(消費税別)」を「月額100万円(消費税別)」に変更するものとする。

第2条(変更の効力発生日)
前条の委託料の変更は2020年2月分の業務より適用されるものとする。

第3条(原契約の適用)
本覚書に定めのない事項については原契約の定めに従うものとする。

本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、各当事者が記名押印のうえ、各1通を保有する。

       令和xx(20xx)年1月1日

委託者   東京都xxxxxxxxx
○○株式会社      
代表取締役xxxx  印

受託者   東京都xxxxxxxxx
△△株式会社      
代表取締役xxxx  印


上記の書式例のファイルを以下に添付します。
覚書(契約書変更用)
(クリックするとWordファイルが開きます)

覚書の内容作成にあたっての注意点

原契約の内容の一部を変更するための覚書は原契約と一体として機能するものです。そのため、原契約の内容を踏まえて条項を規定する必要があります。覚書の作成にあたっては以下の点にご注意ください。

(1)原契約を特定する
締結しようとしている覚書がどの契約に関するものであるかを特定します。具体的には、当事者、日付、契約名で特定します。また、原契約において契約変更に関する条項(例えば、「契約の変更は両当事者の権限ある者が押印した書面による」などの条項)があるのであれば、当該条項に基づいて変更をする旨を覚書に記載しておくのが良いでしょう。

(2)変更内容を明確に記載する
原契約の条項のうち何をどのように変更するかを規定します。原契約の締結後、一度覚書を締結しているなど、今回締結予定の覚書以外にも覚書がある場合、当該覚書との整合性も確認します。

原契約を変更するに際しては原契約で定義した語を使った方が表現しやすい場合があります。その場合、覚書の冒頭において「原契約で定義した語は本覚書においても同様の意義を有するものとする」などと規定しておけば同じ定義語を用いることができます。

原契約の一部を変更すると、他の内容にも影響を及ぼす場合があります。例えば、納品時期を変更することで代金支払いの時期や保証の期限を変更する必要が生じる、などです。必要に応じ、関連する条項も変更する必要があります。

(3)変更時期を記載する
覚書による変更内容がいつから適用されるかを記載します。

印紙の貼付(必要な場合)

原契約が課税文書である場合であって、原契約の重要な事項を変更する覚書を締結する場合には印紙を貼付する必要があります。詳しくは国税局のホームページ(No.7127 契約内容を変更する文書)をご覧ください。

覚書を締結する権限者

署名欄において両当事者の権限者が記名押印します。原契約に記名押印した権限者である必要はありません。対象となる覚書を締結する権限のある役職者であれば足ります。契約を締結することができる権限者についてはこちらの記事(契約を締結する権限者)をご参照ください。

原契約と同じ場所に保管する

前述のとおり、原契約とこれを変更する覚書は一体として機能します。覚書をは原契約と同じ場所に保管しておくのが管理上望ましいと思われます。

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